虎姫高で女子生徒にバイオ大助教ら講演 自身の歩みや支援制度を紹介
科学の道を志す高校生に女性研究者が自身の歩みを通じて今後のキャリアについてアドバイスする講演会が13日、虎姫高校で開かれた。
講演会は女性奉仕団体の国際ソロプチミスト長浜(松井喜久枝会長)が主催する「夢を拓く—高校生のためのキャリア・サポート」事業。長浜バイオ大助教の近藤真千子さん(39)と同大学院生の梅田知晴さん(26)を講師に迎え、女子生徒20人が話を聞いた。
近藤さんは長浜バイオ大の1期生で、博士課程修了後、助手として勤務。出産・育児のため退職したが、その後復帰して、現在は2人の子どもを育てながら大学の実験実習や授業を行っている。
講演では植物が独自の免疫反応で病原菌の感染から身を守っている仕組みについて研究していることを紹介したうえで、研究者の仕事を解説。実験実習や講義科目の授業のほか、研究資金の調達、論文の執筆・投稿が重要だとした。
他国に比べ日本は女性研究者が少ない実態を伝え、例えば長浜バイオ大では教授53人中1人、准教授14人中1人、助教13人中2人しかいないとした。
日本に女性研究者が少ない理由として「家庭との両立が困難」「無意識の偏見」「職場環境」「ロールモデルの少なさ」との新聞社調査の結果を紹介した。そのうえで、男女共同参画の視点から、女性研究者向けの研究費支援などのサポート制度が徐々に増えつつあると説明した。
女性研究者のロールモデルとして、次期学長に選ばれている長浜バイオ大の伊藤正恵教授を挙げた。伊藤教授は農学部で大学院修士課程を修了し、一度民間企業に就職した後、博士課程に入学してウイルスの研究を始めた。近藤さんは「やりたいことや興味は少しずつ変化する。軌道修正はいつでも可能だから、今の気持ちを大切に」との伊藤教授のメッセージを伝え、自身も「今やりたいことを大切に、ちょっと先の未来を考え、欲張りに生きよう」とアドバイスしていた。
梅田さんは大学院で酵母菌を使った老化のメカニズムを研究。「健康寿命を伸ばすために、将来、人に生きる研究につなげたい」と研究動機を説明した。将来は企業で研究を続けたい考えで、企業で活躍する女性研究者を紹介していた。
出席した生徒からは「出産や育児で休んだりすると、男性研究者が多い中では不利ではないか」との質問があり、近藤さんは「独身ならば好きなだけ研究できるが、私は時間になったら帰らないといけない。ただ、やりたいことをやれている状態なので、不利だとか考えてもしょうがない」と語り、梅田さんは「論文は1人だけで出すのではなく、チームで出す。男性に頼ってもいいし、男性と比較する必要はない」とアドバイスしていた。
講演後、岸田紗季さん(2年)は「研究職には女性は不利だと漠然と思っていたが、サポート体制が整いつつあることを知った。生活の安定、ライフプランとかを考えると難しさを感じるが、女性が研究をやりやすくなっていて、私も研究職に挑戦したい」と話していた。