奥伊吹HDが黒壁経営主導へ

総会で事業承継決まる

 長浜市が出資する第3セクター「黒壁」の株主総会が23日開かれ、新会社による再生スキームが決まった。市や民間企業など4団体が出資する新会社「黒壁」に事業や雇用を承継する「第二会社方式」で再建を進める。新会社は8月1日から事業を開始する。

 新会社の出資総額は9000万円で、内訳は長浜市4000万円、奥伊吹ホールディングス4000万円、長浜商工会議所500万円、長浜米原観光協会500万円。関西最大規模のスキー場「グランスノー奥伊吹」などを運営し、観光事業で実績のある奥伊吹ホールディングスが経営を主導することになる。

 黒壁は1988年、市や民間事業者、金融機関などが出資して設立。ガラス文化を核に「黒壁スクエア」を中心としたまちづくりを進め、長浜観光の象徴として発展してきた。一方で、長年積み上がった多額の債務が経営の重荷となり、再建が課題となっていた。

 黒壁は「地域経済活性化支援機構」(REVIC)や金融機関の支援を受けて経営改革を進め、3期連続で黒字を確保するなど収益面は改善しているが、過去の設備投資や欠損金で積みあがった約7億4000万円の債務が足かせとなっていた。

 今回の再建では、新会社がブランドや事業、不動産、従業員の雇用とともに返済可能額として約3億円の債務を承継する。一方で残る債務約4億4000万円については現会社に残し、金融機関の協力を得ながら特別清算手続きで整理する。現会社は新会社の事業開始に合わせて「長浜資産管理」との社名に変更。来年、特別清算手続を終結させる予定。

25年度、過去最高益

 黒壁は株主総会後に記者会見を開き、桑名祐司社長が経営再建に向けたこれまでの取り組みと、新会社設立による再生方針を説明。「本質は単なる債務整理ではない。経営改革と人材育成によって収益力を回復し、その事業価値を新体制へ承継する事業再生だ」と強調した。

 黒壁は新型コロナウイルス禍で観光客が激減し、2020年度には売上高が約3億4000万円に落ち込み、営業損失約1億2900万円を計上していた。こうした中、REVICが2021年から支援を開始。23年4月からは桑名氏が現地常駐し、経営改革に乗り出した。

 改革では、経営方針を「収益最大化」と明確化し、組織内の責任や権限を整理。POSレジ刷新やAIカメラ導入による来店分析などデータ活用を進め、売上管理体制を整備した。各部門の幹部が数字を分析し、自律的に改善策を実行できる体制づくりを進めた結果、収益改善につながった。

 その結果、黒壁は3期連続で黒字化を実現し、2025年度の売上高は6億円にのぼり、営業利益は5700万円と創業以来最高水準となった。収益改善の実績があったからこそ、「第二会社方式」での再建に向け、金融機関や新スポンサーの理解を得る大きな材料になったという。

掲載日: 2026年06月26日