坂口さんに名誉市民の記念楯

長浜の漆塗り職人・中川さん、半年かけ制作

 長浜市は28日、ノーベル生理学・医学賞を受賞した長浜市名誉市民の坂口志文さん(大阪大学特別栄誉教授)に、名誉市民の記念楯を贈った。曽根町出身の坂口さんは「高校卒業まで毎日、故郷の象徴である伊吹山を見ながら過ごした」と振り返り、故郷への思いを語った。

 贈呈は大阪大学免疫学フロンティア研究センター(大阪府吹田市)で行われ、浅見宣義市長が坂口さんに楯を手渡した。記念楯は制作に約半年を要するため、今年1月の名誉市民称号授与式では目録を贈り、その後、制作を進めていた。

 楯は漆塗りの鏡面仕上げで、坂口さんの故郷・長浜を象徴する伊吹山、コハクチョウ、梅の文様を金箔であしらった。制作したのは、坂口さんの地元、曽根町にある「カネイ中川仏壇」の5代目、中川喜裕さん。浜仏壇の最高峰とされる「本堅地」と「呂色」の技法を用い、約半年かけて漆を幾重にも塗り重ねて仕上げた。中川さんは2025年から2年連続で、夏の全国高校野球選手権大会の優勝・準優勝楯の漆塗りも手掛けている。贈呈式に同席した中川さんは「楯が坂口先生と長浜市にとってこの先長く記憶に残るものとなれば」と話した。

 坂口さんは「生まれた故郷は私にとって特別な存在。このような素晴らしい名誉をいただけることとなり、心よりうれしく思う」と感謝。「残りの人生であと何年働くことになるかは分からないが、医学の研究をもう少し続け、自分なりに精進しながら、少しでも社会の役に立てるよう努めたい」と話した。

「自分の目で観察を」ジュニア科学賞、自由研究から表彰

 贈呈式後には、坂口さんの名を冠して新設された「坂口志文ジュニア科学賞」について懇談した。

 同賞は、1月31日の名誉市民称号授与式後の懇談で、浅見市長と織田恭淳教育長が坂口さんに提案し、創設が決まった。「地元の子どもたちが科学への好奇心を育み、自ら考え、探究する姿勢を大切にしてほしい」との坂口さんの願いが込められている。

 対象は長浜市立学校の小中学生。夏休みの自由研究として「滋賀県児童生徒科学研究発表会」に出品された作品から、特に優れた研究を行った小学生、中学生各1人を表彰する。作品は各学校に提出する。

 坂口さんは自身が小学生だった頃、キュウリがどのように伸びるのかを毎日測って観察した自由研究の思い出を紹介。「昆虫や植物など、何かをじっくり観察していると、思いがけない発見につながることもある」と話し、「実際に自分の目で観察し、手で触れて確かめてみることは、とても大切な経験」と子どもたちに呼び掛けた。

掲載日: 2026年07月30日