伊吹高 書の甲子園で初の全国優勝

11人が入賞・入選

 「書の甲子園」として知られる第33回国際高校生選抜書展で、伊吹高校が団体の部で初の全国優勝を達成した。さらに、創作の部で加藤花季さん(2年)が2年連続で最高賞の文部科学大臣賞に輝いた。
 団体の部は、個人の部の入賞・入選に応じた配点の合計点で競われる。伊吹高書道部の部員15人のうち、加藤さんが文部科学大臣賞、部長の中川あかりさん(3年)が優秀賞、大谷咲楽さん(1年)が秀作賞に輝くなど11人が入賞・入選を果たし、全国優勝を成しとげた。昨年には初めて準優勝となり、全国から注目を集めていた。
 全国優勝に中川さんは「優勝できればいいなと心の中に秘めていたが、いつも通りに書いた。今でも実感が沸かないが、最終学年で優勝でき嬉しい」と笑顔を見せ、「私たちだけで獲れた賞とは思っていない。家族や先生などまわりの方に感謝しないと」と語る。副部長の大間千代さん(3年)は「昨年はあと一歩だったので少し悔しかった。来年こそはと思っていて、優勝できてよかった」と話す。
 同部は蝋やボンドを使うなど多彩な表現を大切にし、イベントなどで披露している機動展示(書道パフォーマンス)も創作意欲を刺激している。顧問の押谷達彦教諭(59)は「好きなように書いて、賞をもらった。すごいな、えらいこっちゃ、というのが正直な思い」と語り、今は来年2月9日に大阪市内で開かれる表彰式で披露するパフォーマンスのことで頭がいっぱいという。「全国の強豪校が集まるし、普段よりもう少し上手に書かなあかんな」と部員に声をかける。
 国際高校生選抜書展は毎日新聞社と毎日書道会の主催で、応募総数1万0635点(国内1万0494点、海外141点)から入賞206点、入選1821点が選ばれた。
 入賞作品展は来年2月5日から9日まで神戸市の兵庫県立美術館王子分館「原田の森ギャラリー」で、表彰式は2月9日、毎日新聞大阪本社オーバルホールで。


加藤さん 史上初の2年連続最高賞

 2年連続で文部科学大臣賞に輝いた加藤さんの作品は室生犀星の詩「山上の星」からインスピレーションを得て、甲骨文字で「望星」と書き、蝋書きで詩を添えた。作品のテーマを探しているとき、祖母が病気になっていることを知らされ、いつも見上げる夜空の星に病気が治って欲しいとの希望を託した。
 1カ月半をかけて何度も書に向き合い、字のバランス、墨の量、かすれ具合など思い通りに仕上がった作品で書の甲子園に挑んだ。
 加藤さんは伊吹高に入学した際の部活動体験で蝋の香りに引き寄せられて書道部へ。蝋書きを体験したのを機に、書に夢中になった。昨年、書を始めてわずか半年で最高賞を受賞。そして今年も最高賞に輝き、史上初の2年連続の快挙となった。
 「2年連続の受賞に信じられない思い。もう1回、最高賞を獲れるとは思っていなかったのでプレッシャーはなかった。今後も詩を選ぶ自分の感覚を大切にし、納得のいく作品づくりを続けたい」と話している。

 

掲載日: 2024年12月11日