ヤマトサンショウウオを次世代へ

田村山に生息、保護池整備に協力を

 長浜市南部の田村山に生息する希少種ヤマトサンショウウオの保護活動に取り組んでいる田村山生き物ネットワーク(会長=齊藤修・長浜バイオ大アニマルバイオサイエンス学科教授)は産卵に欠かせない新たな保護池の整備に向け、資金150万円をクラウドファンディング(CF)で募っている。

 ヤマトサンショウウオは体長7〜15㌢の両生類で、近畿地方東部から中部地方南部に分布。水田や池、水たまりで繁殖・産卵するが、水環境の悪化により近年激減し、環境省レッドリストでは絶滅危惧Ⅱ類、滋賀県レッドリストでは希少種に分類されている。

 田村山では2005年3月に齊藤教授が麓の側溝に卵の塊を見つけたことでその存在が明らかになった。当時の名称は「カスミサンショウウオ」だったが、後に分類の見直しが行われ、ヤマトサンショウウオとなった。その後の調査で、2月中旬に産卵し、水の中で成長した後、8月ごろに上陸することが分かっている。産卵場所が道路脇の側溝であることから、水枯れが懸念され、2009年には水枯れにより幼生5000匹ほどが全滅した。

 これを受け、齊藤教授が大学や地域に保護を呼びかけ賛同する有志らと2010年にネットワークを結成。2013年には山の麓に保護池を整備し、側溝に生んだ卵を池に移す作業を繰り返したところ、今では保護池での産卵が定着している。

 ただ、ヤマトサンショウウオが田村山から保護池に移動するには道路や側溝を横切る必要があり、池の手間にある側溝に足止めされるなどして産卵数は減少傾向にあるという。

 次世代にヤマトサンショウウオを残すには道路や側溝に邪魔されないより山に近い場所に保護池を移す必要があり、現在、地元の寺田町自治会が管理する空き地への移設を準備している。地面を掘削してクッション材と防水シートを敷き、地下水をくみ上げるポンプの設置や排水路の整備を行う計画。

 費用は約150万円にのぼる見込み。現在、CFサイト「レディーフォー」で資金を募っている(https://readyfor.jp/projects/yamatosansyouo-n-bio)。目標金額(150万円)に達しなければ不成立となる「オール・オア・ナッシング方式」のため、幅広い支援が欠かせない。

 齊藤教授は「ヤマトサンショウウオを次世代に末永く残していくためには、単に水場の池があれば良いだけではなく、山も健全に守って里山を維持することが重要。ヤマトサンショウウオがどんな生き物で、その保護のためにどのような活動が行われているのかを多くの人に知ってもらいたい」と協力を呼びかけている。

 

掲載日: 2024年08月26日