エコキャップ回収129万個 再資源化とワクチン寄付

SDGs活動「幼児期の人格形成の礎に」

 世界の持続的な発展のため、2030年を目標に取り組みが進む「SDGs」(持続可能な開発目標)。「貧困をなくそう」「ジェンダー平等を実現しよう」「働きがいも経済成長も」「気候変動に具体的な対策を」「平和と公正をすべての人に」など17のゴール(目標)が設定され、企業、自治体、市民団体など幅広い組織がそれぞれ取り組んでいる。

 長浜市内の民間の保育園やこども園13園で構成する長浜市民間保育協議会では子どもたちが幼い時から、自らの力で持続可能な社会づくりの担い手として成長するための感性を育めるようにと、2021年度からSDGsの取り組みを進めてきた。

 中でも力を入れてきたのがエコキャップ(ペットボトルキャップ)の回収活動。集めたキャップを回収業者の「ティーエム・エルデ」(本社・長浜市細江町)に買い取ってもらい、その売却益がNPO法人「世界の子どもにワクチンを 日本委員会」(JCV)に寄付されるもの。JCVはユニセフと連携して購入したワクチンをアフリカに贈り、子どもたちに接種される。エコキャップ800個で子ども1人分のポリオワクチンになる。

 また、キャップはプラスチックのリサイクル資源としても生まれ変わる。

 「すべての人に健康と福祉を」「人や国の不平等をなくそう」「パートナーシップで目標を達成しよう」の3つのゴールにつながる取り組みだ。

 協議会では2021年から回収活動を始めた。これまでに回収したキャップは129万0781個にのぼり、1613人分のワクチン寄付につながった。子どもたちは各家庭で保護者と一緒になってキャップを回収し、園で個数を数えるなど楽しみながら回収活動に取り組んでいる。

 「SDGsの取り組みが幼児期の人格形成の礎となれば」と願いを込めるのは同協議会の妹尾康裕会長。「キャップを集めることで資源として再利用され、ポリオワクチンになって世界の子どもが元気なることを学び、子どもたちは真剣にキャップを一つずつ数えてくれている。SDGsについて意識することにつながっている」と説明する。

 エコキャップを回収してポリオワクチンを寄付するこの取り組みは、子どもたちにも分かりやすいSDGs活動となっており、「子どもたちは家庭で、『捨てたらあかんで』『園に持っていかなあかん』と言って、率先して回収に協力してくれている」と取り組みの効果を実感している。

 また、各園では従来の保育がSDGsとどのように関連しているのか、研修などを通じて学び合い、意識の向上に努めている。

 川遊びで水生生物やごみを見つける▽畑で野菜を収穫する▽廃材を利用しておもちゃを手作りする▽梅の実を収穫して梅干を作る▽食を通じて命に感謝する▽琵琶湖岸でごみ拾いをする▽餅つきや豆まき、太鼓演奏などで伝統文化を守る▽給食の食べ残しをなくす—など、園での取り組みの多くがSDGsに関連している。

 各園が取り組みをSDGsの観点からプレゼンする研修会も催し、妹尾会長は「日ごろの保育をSDGsという『窓』を通して見ることで、互いに学び合うきっかけとなった」と振り返っている。

 そして、協議会がSDGs活動の集大成として開催したのが「スイミー子育てフェスタ 音と絵本とオサカナと」(6月16日、さざなみタウン)。協議会を含む実行委員会が企画し、絵本「スイミー」の朗読に合わせたピアノとフルートの生演奏、メダカすくい、両生類などを紹介するミニ水族館、木製レンガの遊び、クッキングなど、子どもたちの感性を育む多彩なイベントが施設全体で開かれた。

 「長浜の子どもたちがスイミーのように力を合わせて協力し合う仲間として育ってほしい」との願いを込めたこのイベントには多くの家族連れが来場し、好評だった。

掲載日: 2024年09月25日