「発酵オカン」来秋書籍化へ

木之本の食文化と暮らし、全国に発信

 地元で育まれてきた発酵食文化を全国に発信しようと、木之本町の女性グループ「発酵オカン」をテーマにした書籍の出版プロジェクトが進んでいる。地元のまちおこしグループ「ツボのソコ」ではクラウドファンディング(CF)を通じて書籍化の情報を広く発信するとともに、PR資金を募っている。

 酒蔵や醤油蔵が並ぶ木之本では、かつてはどの家庭でも季節の漬け物を作ったり、味噌を仕込んだりすることは当たり前の光景で、それら郷土の発酵食が食卓に並んだ。時代の移り変わりで地域の発酵文化が途絶えつつある中、その継承に取り組もうと2019年にツボのソコが発足。発酵オカンが作る郷土食の数々を全国に届ける「オカンの発酵便」を発売してきた。

 昨年「オカン」がテレビ出演したのをきっかけに、関東・関西で書店45店舗を展開する有隣堂(横浜市)から書籍化の声がかかった。同社は「『なれずし』『漬物』など、滋賀県北部に代々レシピとともに受け継がれた発酵文化。日々の暮らしのなかで仕込み、食べ、笑顔で語らい、『オカンの発酵便』として通信販売するオカンたちのパワー。その四季の暮らしと味、レシピを全国に発信したい」としている。

 取材・執筆・イラストを担当するのはツボのソコのメンバーで、イラストレーター、ルポライターの松浦すみれさん。「日本酒ガール」として自著を出版した際に木之本を訪れ、その後、縁あって移住した。これまで制作してきた冊子や「発酵新聞」をもとに、四季のオカンたちの手仕事や湖北の食卓を描きながら、オカンたちとの交流を通じて感じた暮らしぶりや生き方の魅力をつづる。来秋の出版予定。

 CFは300万円を目標に来年1月12日まで実施。出版の販促費(展示会出展費用、イベント開催運営費用など)に充てる。返礼品は書籍や漬物など。詳細はCFサイト(https://camp-fire.jp/projects/797184/view?list=project_instant_search_results)から。

掲載日: 2024年12月12日