除幕式で住民ら喜び「シンボルに」
長浜市内で見つかった「番場の忠太郎」の銅像(高さ175㌢、幅70㌢、奥行き60㌢)が米原市番場の地に移設され、18日に除幕式が開かれた。かつては番場近くの国道21号線沿いに建っていたため、地元住民らは「忠太郎おかえり」と喜んでいた。
番場の忠太郎の銅像は国道沿いにあった飲食店「忠太郎食堂」の近くに建っていたが、閉店と建物解体に伴い不動産会社を通じて長浜市内の民家に渡り、敷地内で保管されてきた。
米原市番場の住民たちの間では銅像の行方がわからないまま、忘れられかけていたが、昨年3月に番場史跡顕彰会の泉峰一会長(73)が長浜市内の知人を通じて銅像の存在を知り、交渉の末で番場への移築で合意。クラウドファンディングなど100人以上からの支援で移設費用を集めた。
移設場所は中山道沿いの市所有のポケットパーク内。除幕式には平尾道雄市長や上野賢一郎衆院議員らも出席し、泉会長は「番場の入り口に銅像を建てたことで、番場のシンボルになった」と喜んだ。
番場の忠太郎は昭和5年作の戯曲「瞼(まぶた)の母」に登場する架空の人物で、米原市番場で生まれた忠太郎が5歳の頃に母親と離別し、30歳を超えた頃に江戸で再び母親と出会うストーリー。番場の蓮華寺には忠太郎の墓や地蔵尊があり、毎年7月24日には忠太郎地蔵まつりを開催。親子の縁の大切さと家庭円満を願いながら顕彰している。
泉会長は「若い人たちに番場の忠太郎が生まれた歴史を知ってもらい、親子の絆の大切さを改めて認識してくれたらうれしい」と話していた。