「天下一」面打の能面 一堂に

是閑吉満や井関家重ら、博物館で

 彦根城博物館はテーマ展「『天下一』の面打―名工の技 幽玄の美」を開いている。12日午後2時から講堂で関連講座を行う。
 「天下一」は平安時代以降、世に比べるものがないほど優れた人物や場所、出来事などを形容する際に用いられた。近世時代には主に鋳物師(いもじ)や塗師(ぬし)、陶工などの優れた職人に与えられた。室町時代後期になると、自称天下一の職人が表れ、桃山時代には織田信長や豊臣秀吉が一部にその使用を許可し、大いにもてはやされた。しかし、江戸時代に自称の者が急増したため、天和2年(1682年)にその使用が禁止された。
 能の世界では、能面を作る職人の面打(めんうち)のうち、文禄4年(1595年)には面打家の大野出目(でめ)家の初代・是閑(ぜかん)吉満(1527年~1616年)が秀吉から天下一の称号を与えられ、是閑の息子の友閑満庸(ゆうかんみつやす)や近江井関家の四代・家重らが天下一を称した。
 テーマ展では井伊家伝来の能面から天下一の面打の作品や写しなど32点を展示。「天下一是閑」の焼印が刻まれている是閑による桃山時代作の若い女の能面「小姫」、児玉満昌(不明~1704年)が用いた「天下一近江」の焼印がある男の怨霊の江戸時代前期作の能面「怪士(あやかし)」、井伊家十二代・直亮による自筆の道具帳「能面心覚帳」などがある。ほかに、家重の焼印「天下一河内」と打った証を特定の箇所に刻む知らせ鉋(がんな)が押された江戸時代初期作の能面「般若」は、室町時代の名品の金春(こんばる)家の本面を写した作品や、それをさらに写した般若も見られる。
 開館は20日までの午前8時半から午後5時。12日の関連講座はテーマが「『天下一』の面を見る―巧みの技と造形」。講師は学芸員の茨木恵美さん。

(滋賀彦根新聞)

 

 

掲載日: 2026年07月01日