学名決定日にちなみ制定へ、長浜で発起人会
琵琶湖固有種ビワマスの魅力を広く伝え、未来へつないでいこうと、「ビワマスの日」の制定に向けた動きが始まった。発起人会が25日、さざなみタウンで開かれ、学名が決定した6月21日を記念日とする方針を決め、日本記念日協会への申請を進めることを確認した。
呼びかけ人は、藤岡康弘さん(県立琵琶湖博物館特別研究員、元県水産試験場長)、三和伸彦さん(北の近江マザーレイク共創会議代表理事)、佐藤祐一さん(県琵琶湖環境科学研究センター専門研究員)、向田直人さん(近江淡水生物研究所代表)の4人。研究者に加え、漁協や旅館、釣具店、飲食店などビワマスに関わる幅広い分野から28人が発起人として参加した。
ビワマスは2025年6月21日、学名「オンコリンカス・ビワエンシス」として正式に記載され、琵琶湖固有の種であることが世界的に認められた。命名は藤岡さんらの研究グループによるもので、遺伝子解析や形態の違いをもとに独立した種と確認された。長く位置づけが定まっていなかったビワマスにとって、大きな節目となる出来事だった。
琵琶湖では、1977年に赤潮が発生して以降、石けん運動など県民の取り組みにより水質は大きく改善してきた。一方で、環境の変化に伴い、かつて見られた多くの動植物が減少し、近年はアユの不漁も続くなど、生態系の変化が指摘されている。
「琵琶湖の宝石」とも呼ばれるビワマスも例外ではない。秋には産卵のため川を遡上するが、河川改修による影響や産卵に適した環境の減少、密漁など課題は少なくない。さらに温暖化の影響も懸念されている。
その一方で、魚道の整備や産卵環境の再生といった取り組みも各地で進み、ビワマスの姿が戻りつつある川も見られるようになってきた。
記念日をこれらの取り組みについて広める機会とするとともに、ビワマスの魅力を発信する。この日の発起人会では記念日前後に県内各地でイベントを企画するほか、賛同者1000人の募集にも取り組むことを決めた。このほか、禁漁期間中の啓発や、県外からの密漁防止に向けた意識づくりの必要性も共有された。
制定のヒントとなったのは、北海道むかわ町の「ししゃもの日」。記念日を軸にしたイベント開催が地域の活性化や文化発信につながっており、ビワマスでも同様の広がりが期待される。
オンコリンカス・ビワエンシス
琵琶湖固有の魚ビワマスは、長年にわたり学名が定まらない状態が続いてきたが、昨年6月21日、「オンコリンカス・ビワエンシス」として正式に記載され、新種として国際的に認められた。
ビワマスは1925年、米国の研究者によって「オンコリンカス・ロヅラス」と命名された種と同一視されてきた。
転機となったのは1990年の研究だった。「ロヅラス」の基準標本が、現在知られるビワマスとは異なることが明らかになり、ビワマスは学名を持たない状態となった。
その後の研究では、藤岡康弘さんらのグループが、目の形やうろこの数などの特徴を詳細に比較するとともに、遺伝情報の分析を実施。その結果、アマゴやヤマメなどの近縁種とは明確に異なることが確認され、琵琶湖固有の新種として位置づけられた。
ビワマスは現在、環境省のレッドリストで準絶滅危惧種に分類されている。産卵環境の変化や近縁種との交雑などが課題とされており、新種認定が今後の保全の後押しになることが期待されている。







